漫画「ひとりでしにたい」を1巻～全巻無料で読む電子書籍サイト・アプリは？読み放題マンガ/カレー沢薫

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ひとりでしにたい。タイトルは怖いかも知れません。表紙も毎度棺桶を思わせる灰色の空間に女性と猫がいる。なんと第24回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した若い内から終活について考える漫画です！結婚して子供や孫ができても看取って貰えるとは限りませんよね？定年退職を迎えた途端に離婚届を叩き付けられる熟年離婚だってあります。第１話、35歳の独身主人公・山口鳴海憧れの独身バリキャリの伯母が風呂で液になったのは衝撃的です。慌てて婚活を始めた鳴海に出向エリート那須田くんが現実論で切ってきます。実はこの那須田くん、鳴海に気があり協力者となってくれるのですが彼にも秘密がありました。コミックDAYSで試し読みできます。紙媒体で持っていたい作品です。

凄いもん読んじゃったな…というのが正直なファーストインプレッションです。
令和に生きる私たちの誰もがそうなる可能性を秘めた…地獄の窯のふたを開けてしまった…
主人公の鳴海はある日憧れていた父方の伯母が孤独死したことを聞かされました。
しかも相当壮絶な最期だったのです。
キャリアウーマンとして独身を貫いた末の死を、弟夫婦に「結婚もせず子供も産まず一人でずっと好き勝手やってきたから最期に罰が当たった」と言われてしまったのを聞いて、鳴海は自分もまたその”予備軍”だと気づいてしまったのです。
誰もが日常を楽しむ裏で眼を背けている”自分の死に方”にぐいぐいと迫っていく鳴海。
彼女は一人で生きて、一人で誰にも迷惑をかけずに死ぬことを志しますが、それはもう人生そのものが”終活”なのかもしれません。

全体通してギャグっぽく、面白おかしい雰囲気で描かれていますが、内容は実に切実な話です。
特に憧れていた独り者の叔母の遺品からバイブが出てきたエピソードはゾッとします。
死んだ後にこれはあんまりですね。
主人公は孤独死にならないように婚活などを模索しますが、早々に行き詰まります。
なにしろ実際老後の生活と言うのは人によって千差万別、例え伴侶や子どもがいても、孤独死と言うのはそういった状況とあまり関係なく誰にでも起こりうることでしょう。
それならもう、ひとりで生きて、ひとりで死ぬ。
そう開き直って、上手なひとりでの死に方を試行錯誤する主人公は潔いです。
作中の、「孤独死する人に共通していることは希望がないこと」というセリフはとても腑に落ちました。
お金や人脈以前に、一番必要なのはこれかも知れないですね。

叔母さんが孤独死したことによって鳴海がこれからの生き方を変えようしているのがすごく面白いし、自分の概念が変わりました。今まで孤独死について考えることはなかったものの、どこかで1番そうなりたくないと思っていました。
でも誰でもそうなりえる可能性があると知りました。結婚して、子供がいるから大丈夫とは限らないなと鳴海の考えや鳴海の両親で学び、自分の性格が悪かったり、周りを見下す人間であったら孤独になってしまう可能性は高いと改めて気付かされたので絶対に気をつけようと思います。
ただ鳴海がひとりでしにたいと言う気持ちも少し分かるなと感じました。実際私も姉2人が結婚してないため親からの圧力がすごく一時期は1人でもいいと思える時期があったので人に馬鹿にされるくらいならと思う気持ちがすごくわかりました。

魯山人

カレー沢薫同志が愛し作品には欠かせない存在・おキャット様。デビュー作クリムゾンでは３おキャット様まとめて関羽でしたが、今度は魯山人ときました。ネーミングセンスが冴えてます。魯山人はただ愛でられるだけの存在ではなく、鳴海が購入したマンションと共に守るものであり共にしにたい存在であり、所々で鳴海の癒しと原動力になってくれます。ナスダを家に上げた最新話の方では、ナスダの腕の中で寝て２人に時間を与えてくれています。一度起きるも空気を読んでまた寝る魯山人の気遣いが好きです。

山口鳴海

漠然と働いていた30代半ばの学芸員でしたが、伯母の死をきっかけに自分の人生を振り返り、「ひとりで死ぬ」ために模索を始めた彼女の、ちょっと暴走気味ではあるけれど、一生懸命なところがとても良いです。
そこはかとないギャグテイストが盛り込まれていてすいすいと読めますが、伯母や実母らの一筋縄ではいかないさまざまな”女の一生”を紐解いていくうちに自分のこれからを憂いながらも、如何に「良く生きて、良く死ぬか」と考えるようになっていくのでした。
同世代女子だけでなく、今を生きる人みんなの代弁者のようなキャラです。

那須田

出てくる人はみなそれぞれキャラが立っていますが、那須田はちょっと可愛い変わり者です。
主人公に想いを寄せていますが、ズバズバとはっきりものを言うのでことごとく裏目に出るのも面白いです。
孤独死に異様に詳しい変な奴、のイメージでしたが、実は苦労人。
ミニマリストで死ぬまでただ生きる、楽しみは必要ない、という彼の考え方を主人公の楽しそうな生き方が変えてくれます。
二人が仲良くなってくれれば、孤独死は回避できるのではないでしょうか？

鳴海

叔母さんの孤独死によって自分の生き方を見つめ直すところや、那須田くんとの会話で自分がどれだけ知識が浅かったのかなど素直に行動して生きているところが好きです。
自分のことだけでなく、両親のことや弟夫婦のこともしっかり視野に入っているけど、どこか行動が間違っていたりと天然っぽいところも好きです。
また猫を愛してる鳴海の姿が可愛くて好きです。ひとりでしにたいと言いながら猫も一緒にと言うところや、猫と戯れている姿が可愛いかったです。

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