漫画「大奥」を1巻～全巻無料で読む電子書籍サイト・アプリは？読み放題マンガ/よしながふみ

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歴史上の偉人の性別が逆転している作品は、数多存在しますが、こちらは日本全土がその危機に陥ったと言うお話。逆転した理由もすごいですが、その問題が解決した後の動乱の日本を、男女逆転のテーマを崩さぬままに歴史を辿らせてきます。徳川幕府のほぼ始まりから、最後まで。かなり非情かつリアルに描かれているので、お勉強にもなります。ただし、歴史好きの方は独自の解釈も持っていると思うので、作品として読めるかは微妙なところ。男女逆転の時点で読むのをやめてしまいそうですが、それはもったいない！と声を大にして言いたいです。時代の移り変わりや、大奥の出来た理由。代々の将軍が為してきた政策、やらなかったことなど、ただ歴史書を読むよりも楽しめます。

歴史上の大奥とは違い、男女逆転の世界で物語は進みます。
無理のある設定のようですがさすがよしながふみ先生、他国に知られないよう極秘の流行病で歴史上には記録が残ってないという設定で違和感なくこの逆転世界を舞台にしています。実際の大奥と重なる部分が多いのですが男女を入れ替えただけでこうも変わるものか。と驚きます。特に女性が天下を取ってしまうことによる悲劇は男性では起こらなかった悲劇でもあり、今も昔も根本は変わっていない女性の不条理が読んでいて胸が苦しくなります。
ですが、登場人物がみんな非常に魅力的で長い徳川政権の歴史の中で代替わりと共にどんどん主役が変わっていくのですが最後まで飽きずに一気読みしてしまいました。

往年の時代劇「大奥」が男女逆転している設定ですが、歴史の流れや話の流れに全然違和感なく読み進められます。一部男性は混じっているものの歴代の将軍が女性。老中や家臣たちも女性。一部女性だった時代もあるけれども、大奥総取締役は男性。それにもかかわらず、むしろ男女逆転にした方が時代背景を理解しやすい作風になっています。それだけ時代考証の検証がしっかりなされていると感じます。よしながふみ先生、すごすぎです。ちなみにこの漫画のお陰で徳川将軍15代の名前を全員覚えられました。
また、男女逆転という設定から性別に触れている場面が多く、性差についても考えさせられました。日本は男尊女卑の社会でしたが、女性が活躍する時代に変えても今度は男性が下に見られる。男女平等というのは難しいですね。

どんなに権力を持とうと、偉くなろうと、女はどこまで行っても女であることから逃れることができず、苦悩しなければならないのだなあ、というのが一番強く感じた感想でした。子供を産む性であるということ、そして性行為ではどうしても男が「奪う性」という側面があることがどうやってもついて回るのでしょう。その悲しさがよく描かれていると感じました。また、史実を大きく変えることなく男女逆転というSＦ要素を取り入れて、徳川３代～１５代の長い時間の歴史を描き切る作者の力量に、あらためて感服しました。歴史を勉強するためのマンガとしてもとても優秀な教材だと思います。性を描くシーンも多いのでちょっと抵抗があるかもしれませんが、中学生・高校生にもおすすめしたいと思いました。

とにかく史実に忠実です。男女が逆転している以外では、三代将軍家光のころ、東日本で、ある生物からヒトに感染してパンデミックが起きた事が全ての始まり、若い男のみが罹患し高い致死率の感染症「赤面疱瘡」。男子の生存率が著しく低下し人口バランスが崩壊した結果、女達は武家も町民も、男の名前で家を継ぐことに…第一話は、それがすっかり定着した八代将軍吉宗の治世から描かれます。女将軍に大勢の男達が仕える、という事が、一時の快楽や恋慕のためでは無いという事が重くストーリー展開が実に巧みで、吉宗のパートの最後は、大奥の造られた三代将軍家光の時代へと繋がって語られるのですが、時代考証が精緻で、時々(こっちの方が理屈が通る…この方が説得力がある…)の連続です。家光(千恵)と有功との恋を超えた愛は感涙です。

犬公方綱吉

全員魅力的なキャラクターですが、あえて挙げるならこの方です。悪名ばかりが有名ですが、男女逆転した故でしょうか、見解がかなり変わった人物です。彼女の人生には、女将軍であることの哀しみがついてまわり、晩年は疲れ果てた老害という印象。不幸に酔いしれてしまったのかな。将軍の座にはついていたけれど、心はいつまでも1人の女でした。とても人間くさくて、かわいくて、望んでないのにあんなに様々な人に愛されたのも、なんかわかります。

玉英

大奥の歴史の中でも伝説的人物の有功に仕えているただの小坊主に見えますが、頭の良さ・運の良さが幸いして生き延びる様が見ていて引き込まれます。
機転も効く上に相手の考えがよく分かるので、バレたら即刻打首になるような大罪もしれっとこなすのでその手腕には惚れ惚れ。
綱吉の父でもあり、作品の中でも将軍以外で珍しく老後まで登場シーンも多く若い頃から死去までが描かれている人物なこともあり感情移入してしまいます。
聡明な玉英ですが長年大奥に閉じ込められているゆえの無知さも切ないです。

阿部正弘

徳川幕府という設定上、やり手で隙がない女性たちばかりの中。一番おっとりしている性格で私の中の癒やしキャラになっています。周囲との調和を意識しつつ、たくさんの人に愛されながらも歴史を覆すような政治をやってのけてしまう素晴らしい女性です。徳川斉昭のような彼女を嫌う勢力にもそっぽを向くことなく、温和に対応して政治に取り入れようとする姿は処世術の参考になります。それだけに彼女の早すぎる死は本当に残念で泣けました。彼女がもう少し生きていれば徳川幕府ももう少し長く続いたかもしれません。

徳川吉宗

強さと聡明さに憧れます。自分の能力や欠けている部分なども、とても冷静に判断しています。現実の吉宗のエピソードなどがうまく取り入れられており、江戸幕府中興の祖と言われたこともさもありなん、と思わされます。久通が殺人という咎を冒してでも吉宗を将軍にしようとしたことも、そこまで下の者に慕われる人物だったということだと感じました。一見他人の感情の機微にうといようにも見えますが、冷静にその人にとって何がベストかを考えて実行しています。まさにトップに立つにふさわしい人物でした。

お万の方(万里小路有功)

この物語のアイコンです。京の公家に生まれながら、慈悲深く人を救いたいと仏門に入るが、その美貌と教養から春日局の目に留まり家光の大奥に入れられる。悲惨な少女時代の多過ぎる体験から心を荒ませていた千恵(家光)の心に寄り添えたただ一人の男です。円満な人格者ながら家光への生涯の献身の為に苦しい決意を下す。大奥の規範を作ったことに加え、「右衛門佐」や「天璋院篤姫(胤篤)」といった歴代大奥の美男子は、彼と瓜二つという設定が多い。３人の性格は全く別ですが最終盤での伏線でもあり、渋い仕掛けになっています。

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