漫画「真綿の檻」を1巻～全巻無料で読む電子書籍サイト・アプリは？読み放題マンガ/尾崎衣良

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読み始めと読み終わころには主人公含め周りの家族の印象がかなりガラっと変わるところが魅力です。
全6話で、もうちょっと読みたい!という感じの終わり方で、スッキリというより、見る人によって見えるのものが違うんだよなぁという当たり前に気づかされると思います。
話の進み方が、主人公の弟の奥さんが友達とお喋りするような感じでスタートし、その後主人公の弟目線での語りになります。
そして、母目線の話と、主人公目線の話、主人公の旦那さんと続いていくのです。
それぞれの思いがかなりバラバラで、家族って何だろう、誰のための家族なんだろうと思わずにはいられません。
悲しい結末になってしまうのかなと、思いきや、最終的には、主人公の夫婦やお母様も前を向いてる様子で終わるので、
あっという間に読めて、良かった・・と思う作品です。

何と言っても、夫婦の相性と愛情が素晴らしい！！
家族でも相性が悪く仲違いすることもあるのに、血のつながりもない他人がこんなにも相性よくお互いを思いあえるなんて。
自分自身、今現在夫と生活をしているが、榛花と一広のような夫婦のようになりたいと思います。道のりは果てしなく遠いですけど…榛花の子供時代からの家庭環境は辛いことが多かったと思いますが、腐らず自分の信念を曲げず生きてきた結果、守ってくれる人と出会えて本当に良かったと思います。
見どころは母の心情。母も辛かったのだろうが、もしも自分の母だったらと思うと、榛花の辛さは計り知れません。
だが、榛花も母もずっと誰にも守ってもらえなかった。母は逃げ、榛花は逃げなかった、その結果がこの漫画の結末なのです。
でもバッドエンドではないので、後味が悪くないのがまた良かったです。

尾崎衣良先生ならではの最後に華麗などんでん返しのあるスカッと系でした。ただし、代表作の「深夜のダメ恋図鑑」のようなぶっちゃけギャグは少なく、落ち着いた作品です。ズバッと断絶したら、はいおしまい、のような感じではなく、ぶっちゃけた後にも日常や人生は続く。勝手にお人形にしておいて、そのお人形に意思があり力があるとわかると裏切り者と罵る。良くある根深い茶番です。家族に対する憎しみも悲しみも期待もどっかに捨ててきた主人公の、真っ直ぐな感謝とそこに行きつくまでの努力に、喝采。きっとご家族は最後まで、主人公に勝手な期待と、勝手な憤りを抱くんだろうなぁ。お母さんは最後に救われたと思いますが、その後のお父さんサイドと弟さんサイドも読んでみたいです。

登場人物は主に6人で、主人公夫婦とその家族の話です。はじめは、弟夫婦の視点から話が展開していきます。作中では弟夫婦から見た姉夫婦は前時代的な古い夫婦に見えており弟からは奴隷と言われています。確かに一つの側面からしか見ないとそう見えますが、そのあとの展開で姉夫婦の視点に変わると他の様々な要素が加わり全く違った話に見えていきます。この漫画の見どころはここで弟夫婦、姉夫婦、親夫婦と視点が変わっていくにつれて話が展開していき、視点が変わるたびに新しい事実が発覚していくようになっているのがとても面白いです。6話完結の短いお話ですが話が綺麗にまとまっており、主人公の性格がさっぱりしているのも相まって最後はとてもすっきりとした気分で読み終えれるのも魅力です。

一つの視点だけでは全ては分からないというところ。登場人物それぞれがそれぞれの見方をしており、全てバラバラな印象を受けるところが見どころです。
自分にとって都合の悪いところを隠して話したり、自分の問題を自分以外の何かに転嫁したり。読んでいる間はどの人物に対しても「そういう事情じゃ仕方ないな」と思えるのですが、読み終わったあとでは印象が全く違ってきます。
また問題の核となる人物の描き方も、一方的にスカッとさせるような展開ではありません。しかしだからといって腑に落ちない結末かというとそうではなく、きれいにまとまっています。誰か一人を悪者にして終わるのではなく、誰にとっても後味良く描かれているところも新しくて魅力的です。

すごく巧みな構成になっています。
物事を主人公だけでなく、周りを取り巻く人たちの視点から見ると、全く違って見えることが良くわかります。
周りから見ていると、横暴でモラ気質の夫に虐げられて毎日を過ごしているように見える主人公、実家はどうなのか？
読者は見える方向からしか見えないので、つい、勝手に一方的な怒りを覚えたり同情したり、でも、主人公の女性と夫が、実は求める方向が一緒だと分かったときは、胸がすくような、良い意味でため息が出るようなカタルシスを感じます。
それにしても、人は悪気なく、勝手にその人のイメージを作り上げて自分の行動に言い訳してしまうもの。
その卑怯さに唖然としてしまいます。
自分自身にも、我知らずそんなことがないかと、考えてしまいました。

一広くん

主人公の旦那さんです。
周りから見ると、とっつきにくい印象を与えがちなのですが、奥さんをとても大事にしていて、全読者の理想の旦那さんなのではないかと思います。
旦那さん目線の語りの時に、奥さんの親族が苦手だと思いながらも、奥さんを大切に思うからか、否定するような言葉はありませんし、奥さんの為に、率先して悪者になる姿は本当にカッコいいです。
すごくお似合いで理想の夫婦像なんじゃないでしょうか。
夫目線の番外編とかあったら、課金しちゃうと思います。

宮崎泰枝

外から見たら、器用に夫・義両親・子供からの要望に応えているかのように見えるかもしれません。
しかし誰にも弱音を吐けず頑張った結果、向き合うべき問題から逃げてしまいます。
支持はできないが、共感はできます。
強そうに見えて弱い人は、甘え下手なので人に素直に助けを求めることができないからきっと何十年と気持ちに蓋をしてきたのだろうと辛かっただろうと思います。
娘と気持ちを共有したことによって、母娘の関係が良くなっていけばいいなと思いました。

清武一広

主人公の夫ですが１話の家族目線でだけみると、自分勝手で怖い人という印象です。夫目線と主人公目線に切り替わった時、あれはそう言うことだったのか！と驚くと思います。
つくづく人って、見たいところしか都合よく見ていないんだなぁと。主人公を労り自由を尊重して大事にしてくれています。主人公がうちの家族って～と悪く言っている様子はなくても、なんか変、と直感して自ら悪役になる姿が頼もしいです。ひどい直接対決をせずに済むように、ずっと見守ってくれていたんでしょう。

榛花

一見無表情で、笑っていても愛想笑いに見えるクールなキャラですが、内心は結構怒りとか思っていることをため込んでいるタイプで人間味のあるキャラクターなのが好きです。実母や実家の人に対して怒鳴りつけて去っていくシーンは爽快です。実家に対してわだかまりがありそうなのに、意外と愛情深くて、言いたいことを言った後はしっかりと相手と向き合って、お母さんに心からの感謝と気持ちを伝え、世話もちゃんと行うところもとても好感が持てました。

一広

あえてそう振る舞っているところがあるとはいえ、主人公以外の人物からの評価や印象がとても悪いのに、実際は一番人間ができているところが好きです。
最初に読んでいる時は読者としても途中までいけ好かないキャラクターでしたが、展開を進めるに連れて「あれ？そういうことだったの！？」が連発で、読み終わったあとは一番良いキャラクターだと思えるようになりました。下手に格好をつけず、でも奥さんを蔑ろにするでもないところに、協力して等身大の夫婦を作っていける器の大きさを感じます。

清武榛花(主人公)

とても聡明で真っ直ぐな女性だと思います。
随分な扱いを受けて育っているはずなのに、嫌味でなく母親に感謝していると告げたところは驚きました。
子どもはお母さんが絶対に好きなんだというセリフにも泣きたくなりました。
当たり前のように、無条件に与えられる子どもからの愛情を当然だと受け取り搾取しているのは親の方なんだなと…
彼女はきちんと育ち、親を卒業して自分に居心地のよい場所を勝ち取って生きています。
それに母親が気づいてくれて良かったです。

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